「基本英文700選」の歴史 その1

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現在、うちには3冊の「基本英文700選」がある。
※予備で買ってあるものもあるので、実際は5冊

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左から
「基本英文700選」1976年7月20日 第26刷発行
「基本英文700選<改訂版>」1993年9月10日 改訂版第41刷発行
「新・基本英文700選」2017年3月25日 初版第22刷発行

 
■基本英文700選
初版1968年5月7日 142ページ
駿台文庫、記念すべき最初の刊行物である。
ページ数が「新・基本英文700選」の175ページと比較すると30ページ以上少ないが、これは主に文字の大きさに起因する。
※いずれもスミ一色だが、「新・基本英文700選」のほうが見やすい
また、「基本英文700選」と「基本英文700選<改訂版>」は紙質が「新・基本英文700選」と比較するとあまりよくない。
「新・基本英文700選」が良すぎるのか…?
著書は、鈴木長十、伊藤和夫
※現在も変わらず
表紙には、「駿台高等予備校副読本」となっており、また「本書の使用法」にも「本書は駿台の学生を対象にし」とあるように、駿台に通う学生向けの本であることがわかる。
※初期は「駿台助教材」

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ちなみに、上段の「駿台高等予備校副読本」部分は、1982年1月18日の版では「駿台受験叢書」に変更され、下段は「駿台受験叢書」から「駿台文庫」に変更されている。

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駿台に通う学生向けであるならば、文法面その他の解説が殆どないのも、なんとなく理解できる。
伊藤師は例文を使いまわすことが多いので、「英語構文詳解」、「英文解釈教室」やその他著書である程度補填できるのではあるが…

肝心の掲載されている英文だが、一見すると現行の「新・基本英文700選」とあまり差がなさそうに見える。
改訂の時に、細かい変更がおこなわれているのだが、個々の英文については別の機会に譲る。
掲載されている英文は、鈴木師と伊藤師の共著となっていることからもわかるとおり、両師が選定や創作をしたものである。
過去の名著や著名人の発言、「The New Art of English Composition」(泰文堂)からの引用、某書籍からのパクり(著者曰く)、そして創作したものと思われる英文から構成されている。
「The New Art of English Composition」の初版は大正15年だから、掲載されている英文が古いと言われても郁子(むべ)なるかな…
700選が批判されるとき、伊藤師にだけ矛先が向かいがちだが、当時英語科のドンは鈴木師であり、伊藤師だけ批判されるのは、少々かわいそうな気がする。
※後年、伊藤師が大幅な改訂をしなかったのは、色々と事情があるようだ

見ていて気になったのが、奥付には「基本英文700選(改訂版)」となっている。
これを見る限り、現在所有している版(1976年)までにどうも改訂が最低でも1回おこなわれているようである。
また、1982年1月18日の版では、「改訂版第61刷発行🄫」となっており、上と合わせると2回改訂がおこなわれている可能性がある。

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いつか、初版やそれぞれの版を入手して比較してみたい。
まさかと思うが、表紙の「駿台助教材」→「駿台高等予備校副読本」→「駿台受験叢書」と変更したものを"改訂版"と表している可能性もなくもない。

※文中一部敬称略